4/11/2024

DJ Krush


DJ Krush。自分の音楽人生の中でもかなり影響というか刺激を受けたアーティストで、今も現役で活躍しているプロデューサー。
今さら誰々と共演できる! やった! 嬉しい! とかそういう事が言いたいわけでは全くないんですが、自分が多感な時期に心底憧れていた人なので記録的に残しておくことにしました。

DJ Krush は東京都出身の日本人プロデューサーで80年代にラッパーの Muro 等とグループを結成(KRUSH POSSE)し、日本のヒップホップの礎を築き、その後、90年代に UK のレーベル Mo Wax と契約し、インストゥルメンタルヒップホップの先駆者として活躍。00年、10年代、現代に入っても日本人ラッパーをフィーチャーしたアルバムや、ベース系に近づいたアルバムを出すなど現役で活躍している。


DJ Krush の話の前に少し遠回りするけど、まず自分がヒップホップが好きになったきっかけを。
昔、ZOO という日本のポップスグループがいて(ちなみにメンバーには Jungle, Drum & Bass DJ として国内では有名な方が在籍していました)、90年代のヒットチャート常連で、ダンスと J-Pop の融合みたいなのを前面に出していたのかな。EXILE - Choo Choo TRAIN の元曲を作ったグループっていうとわかりやすいのかも。
自分は中学、高校でラジオっ子だったので様々な人のラジオを聴き漁っていて、ZOO のラジオも聴いてみるかとチェックしていたところでプレイされていたのが A Tribe Called Quest - Jazz でした。



多分高校一年生くらいだったと思うんですが、なぜかこの曲にすごく衝撃を受けて翌日には近所の CD ショップに行ってこの曲が入っていたアルバム The Low End Theory を購入。そこからヒップホップに傾倒していきました。今思うと厨二病みたいなもんで、こんな渋い曲聴いてる俺カッケー というのも多分にあったと思います。
そこから Nas、Gang Starr など、お店でプッシュされている物をなけなしのお小遣いを使って買い溜めていきました。当時は本当に情報がなく、何を聴けば? 何を買えば? 状態。唯一の情報源が Tower Records で無料で配られていたた Bounce というフリーペーパー。ロック、J-Popなど全ジャンルの中にたまにヒップホップの記事が載っていてそれをみて勉強し、また CD を買いに行くということを繰り返していきました。

そんな中、高校2年生時の同級生でヒップホップグループを組んでいる人がいて、その人たちと徐々に仲良くなり、色々な情報を得ることに。海外の情報にも詳しく、当時存在すら知らなかった日本語ラップや、専門雑誌、聴いた方が良いラジオなんかも教えてもらいました。山梨県の高校に通っていたので、90年代中盤にヒップホップが好きな人がクラスメイトにいたというのが今思うと奇跡的だったなと。そんな彼らが自主制作のラップテープを作っていたんですが、そこで使用していたインストが DJ Krush - Strictly Turntablized で、それが DJ Krush との初めての出会いでした。
確か46分テープだったと思うんだけど、全曲がそのアルバムからの使用されていたのです。僕は当時無知だったので、本人達がトラックも作っていて、ラップも良いけどビートもめちゃくちゃかっこいいなー! と思っていたのですが、その後そのビートが DJ Krush によるものだと気づいたのです。その中で特に際立っていたのが Kemuri という曲でした。



インストなのにちゃんとストーリーがあるし、誰かも言ってた気がするんですけど口ずさめるインストなんですよね。ドラムも上物もベースも全部歌える。こういうビートって本当に少ない。
そこから DJ Krush にめちゃくちゃ影響受けて自分でビートを作りたいと思い MPC(サンプリング機能がついた作曲機材) も買ったし、DJ Krush 名義のものはレコード CD 問わず買いあさりました。

90年代後期になると自分にも変な意識みたいな物が生まれ、
「英語も理解していないのに海外のヒップホップを聴いていて良いのだろうか?」とか
「内容を理解もしていないのにかっこいいなんて言ってダサくないか?」
など、今考えると別に気にしなくて良いんじゃない? ってことも気になりだし、そんな中インストルメンタルミュージックに価値を見出していく事になりました。
その後、時代は空前のアブストラクトヒップホップブーム。それは Trip Hop などとも呼ばれていて(本人はこの呼び方を好んでいなかった なんて話もありますが果たして)、多くのアーティストが参入していき、DJ Shadow, DJ Cam などの登場により世界同時多発的にブームが爆発していきました。そのブームの火付け役かつ、最先端のビートメーカーが DJ Krush だったのです。一つのクラブミュージックのジャンルを作り上げた日本人って彼だけじゃないかなー。。。
なぜ彼の曲が好きなのか。とにかく90年代で感じることのできたビートの太さ。それまで聴いてきたヒップホップもビートが大きいものはたくさんあったけど、とにかく DJ Krush の曲はビートが太い。
自分がドラムンベースにハマったきっかけもベースというよりはビートのかっこよさだったので、少なからずここも DJ Krush に影響を受けているような気がします。

アルバム単位でいうと初期衝動もあり "Strictly Turntablized" が一番好きではあるのですが、2010年代に出しているアルバム "軌跡" もおすすめ。日本人ラッパーを全面的にフィーチャーしてて R-指定、呂布カルマ などかなりバラエティにとんだ内容。インスト盤も出てるのでそれも是非チェックしてもらいたいです。

と、90年代から現代まで常に活躍し続ける DJ Krush さんですが、光栄にもご一緒することになりました(前置きが長すぎる)。
実は今まで何度もすれ違う機会がありまして、もっとも接近したのは20年近く前に栃木の "ツインリンクもてぎ" というところにモトGPを見にいった時。某クラブからの要請で、招待席を持っているから行ってレポートして欲しい との事だったのでケイタと一緒に2泊くらいして行ってきました。自分は正直モータースポーツに明るくないので、なんとなく観戦していたら、招待客の中に Krush さんがいて「うわーーー 本物だー」というのが最初。
その後は Krush さんがメインフロア、僕がサブ で同じイベント みたいなことが何度かあったのですが、失礼ながらご挨拶はしていないのです。というのもいつかご一緒する機会があればお話ししてみたいなーという思いがあり取っておいたというか。。。なんかこんな事言うと気持ち悪いのですが、自分的にはそれくらい恐れ多いアーティストという事で。

かなり長くなってしまったのですが、もし少しでも興味があればぜひ遊びにきてみてください。自分のミッションは2つで、

1. 良いプレイをする
2. Krush さんに話しかける

となります。
ぜひ Circus Tokyo でお会いしましょう!


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1/31/2024

2023年のBEST!

ギリギリ1月中に間に合った。
年1の BEST 企画を去年は下書きにしたままアップしなかったので2年ぶりに。。手軽な SNS があると本当に筆不精になってダメですね。
これは前年にあったベストなものをつらつら記している自己満足 & メモ 企画。たまに見返すと 「あー こういうのあったなー」って振り返れて良いんですよね。X とかだと埋もれちゃって見つけられないので皆さんも note とかでぜひ。
というわけで早速 Best Single から。例によって spotify と連動しているので聴きながら読んでくれると嬉しいです。





Best Singel

01. Velocity & MC Fats - We Gotcha Junglist 
これはもう数年前の曲なんですけど自分的も、ドラムンベース全体の出来事としても大きな出来事があったのであげさせてください。2023年3月にジャングル、ドラムンベースシーン最初期から活躍してきた MC Fats が亡くなりました。
数年前に友人を介して、彼から直接連絡をもらい曲を作りリリース出来た事を本当に誇りに思っているし、偉大なアーティストだったのでとても残念。直接会ったことは2, 3回しかなかったけれどずっと彼のことを忘れないし、これからもこの曲を大事にしようと思います。

02. The North Quarter All Stars - No Reason
初めてプロモが送られてきたときは詳細が全くなく、誰なんだろう? って感じだったのですが、蓋を開けてみれば単純に The North Quarter からリリースしているメンバーがキャンプを行なって制作していた曲みたいですね。ドキュメンタリーが YouTube か Instagram ? で公開されていたはずなので興味がある人は探してみてください。

03. London Elektricity - Billion Dollar Gravy (Watch The Ride Remix)
僕がドラムンベースに傾倒し始めた頃にリリースされた Billion Dollar Gravy というアルバムからのリミックスで、リミキサーは Watch The Ride (Randall, DJ Die & Dismantle)。Diemantle の曲が好きなので、そこに Randall のエッセンスが乗っかれば間違いなし。数年前から Randall がプレイしていて、誰のリミックスかなーと思ったらまさか自分達のだとは。思い出の曲が現代アップデートされて DJ でも使いやすかったのでランクイン。

04. Makoto - Show Me
こちらはレーベル Human Elements から Makoto さんの曲。これも DJ ですごく使いやすいし、毎回プレイしていた気がします。イントロが音楽的で、ベースインとともにシンプルになるこの構成がいつになっても好きでついプレイしてしまう。前年にリリースされた Love Is  Conpricated の続編だと思うんですが、こっちの方が好み。
Human Elements からは自分の曲も今後リリース予定なのでそちらもチェック! 
https://humanelements.bandcamp.com/

05. Bluemode - I Don't Even Know
リリース前からよくプレイしていて結構気に入っていたんですが、下半期はあまりプレイできなかったかな。。ブラジル出身のプロデューサーで、1度しか話したことないのであまり詳細はわからないんですよね。アレンジ的にすごく好きなのでサウンドがもっとアップデートされたリミックスとか出たら嬉しいなー。

06. Pola & Bryson & Emily Makis - Phoneline
23年に初来日もした Pola & Bryson からのシングル。前年から色々な DJ Mix でプレイされてたので、これでもか! という程聴きましたが23年についにリリース。メインストリームでは定番化したソリッドなドラムと印象的なボーカルワークでフロアアンセムになりました。
他にもヒットシングル Too Shy なんかもリリースし、すっかりトッププロデューサーですね。

07. Zero T - The Underground
毎年必ず琴線に触れる曲をリリースしてくれる Zero T が DLR のレーベル Sofa Sound から強烈な1曲。ベースライン & サウンドデザインがシンプルでとても好み。こちらも DJ で本当に使いやすい1曲でした。このボイスサンプル誰だったかな。。。
Zero T & Onj (彼は目が不自由で見えないとのことですが素晴らしいピアニスト) と共にリリースしたアルバム Kilburn も非常に良かったです。

08. Kiljoy - Depth Charge 
最近では少し珍しくなってきたアメリカ東海岸のアーティスト kiljoy。実は2000年初頭から活動しているベテランで、Digital のレーベル Function から数年前にリリースをした事をきっかけに最近一気に名前を売り出した人。最近ではあまり聴かなくなったこの雑多な感じ(褒め言葉)が結構良くて、この曲も好きでした。 

09. Blade - Lithuanian Beauty
シンプルで DJ Use な曲。Blade + クレジットないけど、引退してしまった某プロデューサーの2名による共作となっています。実は10年近く前の曲でリリースがずっとなかったんですが、当時気に入ってよくプレイしていたので一応ランクイン。しかし Blade は2024年になって Metalheadz からリリースするとは思わなかったな。。

10. Tokyo Prose & Trail - Three Colour Portrait
LSB による Footnotes からのリリース。相変わらず Tokyo Prose は良い仕事をします。Trail も最近良曲のリリースが多くて今後もとても楽しみ。
Footnotes もこれからすごく良い曲がいっぱい控えているので、North Quarter と共に目を離せないレーベルです。
後述しますが宮古島で DJ した時の1曲目にプレイしたんですが最高に気持ちよかった。

と、ここまでが BEST 10 ですが、他にも DJ でよく使った曲などをプレイリストにアップしています。そちらも合わせて聴いてみてください。


Best Album (DNB)

Anile - Ceremonial EP
もう現代はアルバムっていうもの自体があまり注視されていない(プレイリスト中心という意味)ところもあり少し悲しいのですが、それも時代の流れ。というわけでアルバムではなく4曲入りの EP ではありますが Anile の Ceremonial EPを。
昔から統一感ありつつ、いろんなタイプの曲を作るプロデューサーですが、この作品もバラエティに富んでいてアシッドな曲があったりと面白い感じ。あまり注目はされなかったかもしれませんがぜひチェックしてみてください。


Best Music (exc DNB)

Drake - For All The Dogs
今年下半期一番聴いたアルバム。
特に feat. J. Cole の First Person Shooter がビート、途中の展開や MV も含め最高でした。この曲に関しては Drake っていうよりも J. Cole が好きなのかも。さっきアルバムが重要視されてないって書いたけど、これはアルバムとしても大容量で聴きごたえあり。
国産でいうと Vaundy とか King Gnu 辺りのニューアルバムもかなり大容量(特に Vaundy は全35曲)だったので、そういう流れがまたもしかしたら来るのかもしれませんね。時代は回る。


Best DJ

dBridge (LIVE)
久々に来日した dBridge はライブセットで登場。
最近の傾向からしてドラムンベースは数曲やるかな? って感じだったのを見事に裏切って 1/2 がドラムンベース。しかも最後の最後に True Romance で締めっていう最高の流れでした。前半は Disco + Bass って感じの流れも最高だったな。やはりオリジネーターは違う。。
 


Best Party 

Human Elements @ Circus Tokyo, Circus Osaka
毎回 青山Zero で開催している Human Elements が初めての出張回。東京、大阪の Circus で開催させてもらいました。マコトさんも久々に帰ってきて両日ともすごく楽しかった。東京、大阪とも懐かしい出会いと新しい出会いがあったのでそれも最高でした。

Ho! Me! @ WOMB
こちらも素晴らしかったです。Ho!Me! は KEiTA、YMASA、ASSiGN で不定期開催しているイベントで、22年くらいから助走して、23年に WOMB のメインフロアで本格始動しました。どの回も素晴らしかったですが、自分的には10月の3回目にやった時が久々に納得いくプレイができて楽しかったなと。今年も不定期ではありますが開催すると思うのでぜひ遊びに来てください。


Best Place

宮古島
沖縄は何度か伺ったことがあったんですが、そのさらに先の宮古島は初。沖縄っぽい感じの場所なのかなー と思ってたんですが、似つつもちょっとまた違う感じで最高でした。
11月に行き、天候的にも快晴ってわけではなかったもののすごく暖かく、空港から都市部へのアクセスもすごく良いし最高でした。ご飯も美味しかったし、2泊3日があっという間でもう少し滞在したかったなーと。東京から多くの仲間も来ていたし、近隣から KID, miyu ちゃん家族もいて懐かしい気持ちにもなれました。
全てを企画していただいたニッパチチームには本当に感謝! めちゃくちゃ大変だったと思うけどお疲れ様でした!
今年も参加できたら良いな。


Best Food

スパイスラーメン 点と線.
今年一番美味しかった っていうわけではないんだけどインパクトという意味も含めベストに。23年一番降りた駅、下北沢では数多くのレコード屋とご飯屋さん(ほぼラーメン)に行きました。このスパイスラーメンは視覚もすごく楽しめ、具材が本当に多い。お腹いっぱいになれるし、スパイスと野菜で気持ち的にも少し安心という笑  万人に受けるわけではなさそうだけどおすすめです。


Best Record Shop

ELLA WAREHOUSE 
今年一番お世話になった街、下北沢で営業していたレコードショップ。1年間限定のオープンだったらしく、残念ながら10月に閉店してしまいました。知ったのが夏くらいだったので2, 3ヶ月しか通えなかったのですが、とても良い品揃えでした。レア盤みたいなのはあまりないのですが、安価でちょうど良いレコードがザクザクあったので昔を思い出していっぱい買わせていただきました。本店にはまだ足を運んだことがないので近々行ってみないと。


Best Sneaker 

New Balance 580 GTX GR 
自分の世代だと HECTIC, Mita Sneakers というブランドがコラボをして一世を風靡したということで記憶がある MT580。これは GORE-TEX 仕様で自分的にロマンの全てが詰まっているスニーカーで
発売日に吉祥寺に新しくできた NB ショップで購入。同時に別色オリーブもリリースされたんですがそっちも買いたかったな。
こちらまだ在庫あるっぽいので雨の日などにおすすめ! 先日行った大雪の北海道でもまったく濡れない滑らないで本当に買ってよかった。ビブラムソールの影響で少しスニーカーの重量があるのがちょっとだけ不満。


Best YouTube

高野さんを怒らせたい
お笑いコンビ きしたかの の高野さんをドッキリにかけてひたすら怒らせるだけというチャンネル。怒らせる前までは普通のチャンネルだったのですが、怒らせるシリーズに変わってから一気にバズりました。大掛かりな仕掛けのため、更新頻度が低いですが是非チャンネル登録を。
おすすめは
"高そうな遊戯王のゴミカードを売りに行かせて怒らせたい"
https://www.youtube.com/watch?v=04wOzVaHWuo


なんとか無事書き終わりました。
昨年半ばにもふらっと投稿したのでまた数ヶ月後、気の向いた時にアップしたいと思います。
あまり良いニュースが聞こえてこない2024年ですが、健康に気をつけて良い一年にしていきましょう。


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